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千の輝く太陽 by カーレド・ホッセイニ

原題:" A Thousand Splendid Suns" by Khaled Hosseini

またまた和訳で読みました。

Kite Runner(邦題:君のためなら千回でも)もアフガニスタンで暮らす人々の苦しみが描かれていましたが、こちらのほうがかなり重いと感じました。
二人の人物の友情の物語という点では同じですが、今度は女性のお話です。
Kite Runnerにも辛いシーンは多いものの途中で辛さを忘れさせるような幸せな時間も描かれますが、これはほぼ全編を通じて苦しみが続いている印象です。
あと、Kite Runnerでは二人の友情の強さがひしひしと感じられたのですが今回はそれに比べると少し弱かったので、希望が残るラストとはいえなんとなく鬱々とした感情が残ってしまいました。
Kite Runnerでは途中とラストで涙が出ましたが、今回は泣きませんでした。

でも読まないほうがいいというのではなく、できるなら読んでおくべき本だと思います。
明るい部分が少ないと言っても、アフガニスタンではこの本に出てくる二人の女性よりさらに辛い境遇で亡くなって行った女性もたくさんいるだろうし、この題材にしている以上は無理に明るく書くのもなんだか違うと思うので…

アフガニスタンに何年にどのようなことが起こって…という描写は前作より細かいと感じました。
アフガニスタンの歴史の勉強にもなると思います。
単なる箇条書きでは印象に残らないことも、登場人物の目線で体験すると違って見えます。

文章表現もさらにレベルアップしているような。
語り手の頭の中のイメージから現実に引き戻される感じとか、逆に現実からイメージへ変わっていく感じの箇所があって、うまいな~と思いました。

4152089768 千の輝く太陽 (ハヤカワepiブック・プラネット)
カーレド ホッセイニ 土屋政雄
早川書房 2008-11-25

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1594483078 A Thousand Splendid Suns
Khaled Hosseini
Riverhead Books 2008-05

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6人の容疑者 by ヴィカース スワループ

スラムドッグ・ミリオネアのVikasさんの2作目「6人の容疑者」。
今回は和訳で読んでみました。

面白かったです。
その国の陰の部分を知ることができる小説ってどうしても少し重くなりがちなんですが、ヴィカースさんの本は純粋にエンターテイメントとしても楽しめるので好きです。
この本はヴィッキー・ラーイという青年(殺人までしているのに政府要人の父の力で無罪になっている)がパーティ中に殺され、その6人の容疑者を一人ずつクローズアップしていくという形式です。
インド人ばかりでなくアフリカの少数民族の青年やアメリカ人も含まれていて、彼らの目線から見たインド像もなかなか興味深いです。
このアメリカ人青年(Google創設者ラリー・ペイジと同じ名前のためにトラブルに巻き込まれる)がほんとにおバカで笑えます。彼がこの作品を明るくするのに一役買っていると思います。
最初は何の関係もなさそうだったこの6人、下巻のあたりでは互いに少しずつ関わっていたことがわかります。

犯人が明らかになるのは本当に最後の最後です。まったくムダがありません!
私が途中で「もしやあの人が犯人?って違うか…」と思った人が犯人でした。笑
結末に至るまでも十分面白く最後にちゃんとカタルシスが得られる という作品を読んだのは久々な気がします。
勉強のための読書もいいけどやっぱり読書は楽しくあるべきだ!

この作品、すでに映画化決定されているのも納得の出来です。犯人がわかっていても映像で見てみたいかも。
ヴィカースさん、私の好きな作家リストに加わりそうな勢いです。
あとがきでは新作の構想もできているとのこと…すでに執筆中かな??楽しみです。

4270006021 6人の容疑者 上
ヴィカース スワループ 子安 亜弥
武田ランダムハウスジャパン 2010-09-16


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0312630735 Six Suspects
Vikas Swarup
Minotaur Books 2010-08-17


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