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" The Night Circus " by Erin Morgenstern

夜にしか開かない不思議なサーカスを舞台にした物語です。

<あらすじ>
とある魔術師(Prospero the Enchanter)とそのライバル(Mr. A.H—)が勝負の約束をします。
といっても自分達が戦うのではなく、それぞれが選んだ不思議な力のある子どもを将来競わせようという契約です。
魔術師は娘のCelia、Mr. A.H—は孤児だったMarcoを選びます。
対決も、詳しい事情もなにも聞かされぬまま対決への準備をさせられる二人。
サーカスが舞台になるというその勝負。果たしてどんなものなのか…?

<感想>
全編に漂う静かな雰囲気がすごくいいです。まさに表紙のイメージとぴったり。
たびたび挟まれるお客目線で見たサーカスの描写も想像力に溢れてます。
この雰囲気は好きなんですが、登場人物が遠く感じるのが欠点かも。
人物に感情移入できないと、その人物の行く末もどうでもよくなっちゃうんですよね。
メイン二人がなぜそんなに熱烈に愛し合ってるのかよくわからず、ちょっとおいてけぼりなかんじになりました。
でもサーカスの描写と雰囲気がとても気に入ったので、読んで良かったです。
ちなみに日本人キャラも出てきます!

 

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" The White Tiger " by Aravind Adiga

邦題:『グローバリズム出づる処の殺人者より』 訳:鈴木恵

ブッカー賞を受賞した本です。
設定は、とあるインド人の起業家が、インドを訪問する予定の中国の首相に対して手紙を書いているというものです。
運転手兼召使だった主人公が主人を殺して成功するまでを思い返して手紙にしたため、中国の首相に起業家精神を教えようとしています。

<感想>(ちょっとネタバレあり?)
主人公の語り口が、皮肉がきいてて面白いです。
これまでインドの著者が英語で書いた本を何冊か読んできましたが、それらの本では書かれていなかったインドが見れた気がします。働いてる人の様子とかがけっこうリアルです。

でも…別に主人を殺さなくてもよかったような気が…
アメリカのアマゾンのレビューでもただお金持って逃げればよかったんじゃない?って言ってる人がいましたが私も同意です。
すごい嫌な奴とかだったらまだわかるんですけどわりかしいいところもある主人なんですよね。
まあ完全にいい人でもないんですが。
でもやっぱり殺人者が書いてる手紙っていうことにしたほうがあらすじ的にもキャッチーだからそれを狙ったのかなと思います。
この邦題が興味をそそられるのも殺人者っていう文字が入ってるからだと思いますし。
あと、運転手をしていた時代の描写が大半で起業してから成功するまでは駆け足で語られていたのもちょっと拍子抜けでした。

今回は原書と訳を比べながら読んでみました。
全部は大変なのでここどうやって訳すんだろう?と思ったところだけ参照してみましたがなかなか勉強になります。
そうしたら一か所、訳が抜けているところを発見してしまった^^;主人公が足を洗ってあげているところで…
抜けていても特に違和感がない短い文ではありますが。
こんなこともあるんですねぇ。
訳比べ読み、英語のニュアンスを理解するのに役立ちそうなのでこれからも気が向いたらやろうと思います。

1843547228 The White Tiger
Aravind Adiga
Atlantic Books 2009-03-01


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英語で聖書を読んでみる

聖書…それは元ネタの宝庫!
欧米の小説や映画を楽しむ上で、聖書の内容を知っていると何倍にも楽しくなりますよね。ダヴィンチ・コードなんかはそのものズバリですし。
今まで聖書について書かれた本は何度か読んだことがあったのですが聖書自体をじっくり読んだことはなかったので、どうせなら英語で読んでようと突然思い立ちいろいろ探してみました。
目当ては英訳版のなかで一番カンタンなもの…どうやら”contemporary english version”というのがそれのようです。子供にもわかるように書かれたものだとか。
ページ数が多いわりにやたら安いペーパーバックはお得だけど字が小さくて読みづらい確率大!なので文字が大きいのを探していたら、おあつらえむきのLarge Print版が。さっそく購入しました。ちなみにコレです↓

 
1585160040 Holy Bible: Contemporary English Version
American Bible Society
Amer Bible Society 2000-04

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いや~、このバージョンにして正解だったと思います!
Large Printにしてみたけど字が異様にでかかったらどうしよう?とちょっと心配でしたが、読みやすい大きさでちょうどよかったです。
肝心の英語ですが、本当に平易です。とにかくわかりやすさ・内容が伝わることを重視してるんだな~というのが伝わってきます。
高校レベルの英語力があればすらすら読めるんじゃないでしょうか?いや、もっとカンタンかも…。語彙も極力おさえてあります。
これなら英語の聖書に挑戦しても、難しさが原因で挫折する確率はかなり低いでしょう。

あと、それぞれの書(創世記とか出エジプト記とか)の最初のページにわかりやすい解説がついています。また、その書の内容が目次のように箇条書きでまとめられているのであのエピソードはどこだっけ?と思ったらさっと探すことができます。話の流れをつかむのにも便利。これらを読むだけでも勉強になります。

 聖書を実際に読んでみると、いろいろな本や映画で断片的に知っていたシーンがひとつの話としてつながっていって、なかなか面白いです。
一気に読み切ろうとすると挫折しそうなので他の本と並行して気楽に読んでいこうと思います。

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" Anthropology: 101 True Love Stories " by Dan Rhodes

 とってもミニミニなラブストーリーが101個集まった短編集です。
どれくらいミニかというと一話が101wordsです。
ラブストーリーといっても、岸本佐和子さんの『変愛(ヘンアイ)小説集2』に収録(数話ですが)されただけあって、かなり変てこでツッコミどころ満載です。
男の人目線で書かれてます。変なのはガールフレンドだったり、その男の人だったり、両方だったり。
例をあげると、可愛い彼女がいる男の人が、元彼たちはさぞ寂しがってるだろうとおもって彼女のかわいい行動や言動を書いた月報を、彼女のちょっとしたゴミを付録にして送りつけたりします。
というか、この本の装丁かわいすぎる!センスいいなぁ~。机の横に無造作に置いとくだけでもオシャレですよ、これは。

Anthropology: 101 True Love Stories      変愛小説集2


<感想>
すごいシュールで面白かったです。このツッコミ不在感がいい。読者が心の中でつっこむタイプの物語です。あんまり本を読み返すタイプじゃないけど、このくらいの短編集だと気軽に何度も読み返せそうです。
変愛小説集2は、この他にも絶滅寸前のチアリーダーを探す話が面白かったです。こういう短編集って面白い作家が発掘できるから楽しみが広がっていいですね。変愛小説集3も期待してます。

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The Moon and Sixpence by W. Somerset Maugham(『月と六ペンス』 by ウィリアム・サマセット モーム)

 「月と六ペンス」というタイトルが昔から何となく気になっていたけれど今まで読むことのなかったこの本、原書で挑戦してみました。
ストリックランドというかなり濃いキャラな画家の物語です。タヒチに魅せられた画家ゴーギャンがモデルになっているようです。

ストリックランドさん…40歳にして絵を描くために妻を放り出してパリに行くわ、いろいろと世話を焼いてくれた人の妻を寝取るわ、かなりフリーダムな人生を送っていて、周りの人は振り回されっぱなしです。でもなぜか愛されてしまう、とても魅力的な人でございます。
その妻と知り合ったことをきっかけにストリックランドに出会った主人公の目線で話は進みます。後半はタヒチで晩年を過ごしたストリックランドの様子を知る人の話を主人公が聞くという形式です。

ストリックランドのその強烈な芸術家ぶりといったら…「画家になりたい」ではなくただひたすらに「絵を描きたい」という思いだけで突き進んでいます。健康も顧みないで描き続け、体調をくずして虫の息になっているのに、看病しようと声をかける人に"Go to hell"とか言っちゃいます。ここでキュンときてしまいました(笑)周りの人がストリックランドに夢中になる気持ちわかるな~。

こういう意味深なタイトルの本ってタイトルの意味が明らかになるようなエピソードが盛り込まれているものですが、そういうのがなかったのでそこはちょっと意外でした。
月=理想、六ペンス=お金、つまり現実 を対比しているというのは聞いていましたが…。

この本、フランス語の文章がたびたび出てきました。最近洋書を読んでいるとよくフランス語に遭遇します。やっぱりある程度読めたほうがいいよな~と思って最近ちょっとずつ勉強中です。

0486446026 The Moon and Sixpence (Dover Value Editions)
W. Somerset Maugham
Dover Publications 2006-01-20

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433475158X 月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)
ウィリアム・サマセット モーム William Somerset Maugham
光文社 2008-06-12

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