" The White Tiger " by Aravind Adiga 邦題:『グローバリズム出づる処の殺人者より』 訳:鈴木恵 ブッカー賞を受賞した本です。 設定は、とあるインド人の起業家が、インドを訪問する予定の中国の首相に対して手紙を書いているというものです。 運転手兼召使だった主人公が主人を殺して成功するまでを思い返して手紙にしたため、中国の首相に起業家精神を教えようとしています。 <感想>(ちょっとネタバレあり?) 主人公の語り口が、皮肉がきいてて面白いです。 これまでインドの著者が英語で書いた本を何冊か読んできましたが、それらの本では書かれていなかったインドが見れた気がします。働いてる人の様子とかがけっこうリアルです。 でも…別に主人を殺さなくてもよかったような気が… アメリカのアマゾンのレビューでもただお金持って逃げればよかったんじゃない?って言ってる人がいましたが私も同意です。 すごい嫌な奴とかだったらまだわかるんですけどわりかしいいところもある主人なんですよね。 まあ完全にいい人でもないんですが。 でもやっぱり殺人者が書いてる手紙っていうことにしたほうがあらすじ的にもキャッチーだからそれを狙ったのかなと思います。 この邦題が興味をそそられるのも殺人者っていう文字が入ってるからだと思いますし。 あと、運転手をしていた時代の描写が大半で起業してから成功するまでは駆け足で語られていたのもちょっと拍子抜けでした。 今回は原書と訳を比べながら読んでみました。 全部は大変なのでここどうやって訳すんだろう?と思ったところだけ参照してみましたがなかなか勉強になります。 そうしたら一か所、訳が抜けているところを発見してしまった^^;主人公が足を洗ってあげているところで… 抜けていても特に違和感がない短い文ではありますが。 こんなこともあるんですねぇ。 訳比べ読み、英語のニュアンスを理解するのに役立ちそうなのでこれからも気が向いたらやろうと思います。 The White Tiger Aravind Adiga Atlantic Books 2009-03-01 by G-Tools PR