ボッティチェリの『春』の解釈って… 有名な絵画の描かれた背景を解説してくれている名著『名画を見る眼』(著・高階秀爾)を読んでいました。 そうしたら、私はボッティチェリの『春』という絵に関してとんでもない思い違いをしていたことが明らかになったのです… 名画を見る眼 (岩波新書) 高階 秀爾 岩波書店 1969-10-20 by G-Tools ずいぶん前の話なのですが私は長いこと進研ゼミをやってました。 あれはけっこう勉強以外の読み物も充実してるんですが、とある号の特集が『絵画の解説』で、絵にでてくる人物はこういう意味があるんだよ~というのがいろいろ書いてあったわけです。 そのなかにボッティチェリの春についての話もありました。 当時の私はへぇ~絵の背景を知るのって楽しいもんなんだなと満足して読み終えたのです。 しかしその問題の『春』。 右側に三人の人がいます。 ゼミに載ってた文では、右から二番目にいるちょっと体のバランスを崩している女の人の口から植物がでているのは「死」を表わしてるとかいてあって、私は「へ~そういえば顔色悪いかも?」なんて納得していたのですが… この本を読んだら、ぜんぜん違っていたことが明らかに! なんとその口から花を出している女の人(ニンフ)とその隣に立っている人(花の女神フローラ)は同一人物で、右側にいる好色な西風(笑)ゼフィロスにとらえられた瞬間に、ニンフはフローラへ変身したということを表わしているそうです。 えええ~! でも確かに花がつながってフローラの服の模様になっているし、説得力からして断然こっちのほうが正解っぽい。 ざっと検索してみても、特に死んでいる説とかは見当たらないからどっちも有力説で対立しているというわけでもなさそう…。 ニンフとしては死んだとか、そういう書き方でもなかったと思うし… もしこのを本読んでなかったら誰かにドヤ顔で「この女の人は死んでるんだよ」なんてレクチャーしてしまっていたかもしれない…! ひ~あぶね~(;_;) この本、他にも目からウロコの解説が満載で面白かったです。 歴史やその画家の背景を知ると、絵が全然違って見えて楽しいですね~。 絵は白黒だったのでネットで画像検索しながら読みました。 それにしてもラファエロの『小椅子の聖母』はほんとうに完璧… この本を読まなかったらいつかこの絵に出会っていても頭の上のわっかに気付かなかったかも?? 続編もあるのでそっちも読んでみようと思います。 PR