" The Catcher in the Rye " by J.D. Salinger これまたとっても有名な『ライ麦畑でつかまえて』です。 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』というタイトルで村上春樹による新訳も出ました。 私は村上訳が出たばかりの時に日本語で読んだきりだったのですが、ラドクリフ大生が選んだ英語で書かれた小説ランキングという記事を上げたときにこれが上位にきていたので、どうせなら英語で読んでおこうと思って原書を手に取りました。 ホールデン・コールフィールドという少年が学校を追い出されることになってから、予定より早く学校を出ることに決めて、一人で気まぐれに街をうろうろするというお話です。 大きな特徴はホールデン自身が読者に語りかけるような形で書かれているということです。他の本のような書き方だったらお話として成り立たないんじゃないかと思うぐらい、これといった筋はないですね~。 全編同じ調子で、ホールデン少年が周りの人物や起こった出来事に対する自分の意見を思うままに語っています。 発禁処分になったことがあるとか、犯罪者が愛読していたとか、そういうのを聞いていたので最初読んだときは拍子ぬけしました。 洋書を読めるようになるとそのお話のニュアンスがそのまま理解できるのがいいところだと思うのですが、このような本を読むと改めて実感します。 訳と比べてみて気になったところをちょっと書こうと思います。 日本語のほうがホールデンの口調がちょっとソフトになってる印象でした。 一人称も「僕」だけど、ホールデンが日本語で話していたら僕なんて言うタイプじゃないだろうな~と思います。 でも「俺」で全編訳すのもそれはそれでおかしいんですよね… 考えてみると、日本語の小説って会話文でも実際の会話じゃ使わないような口調がけっこう使われてますね。(女の人の台詞とか) あと、翻訳をする方って言うのは語彙が多いからそのせいかもしれないですが、少年が話すときに使わないような言葉を使っているのもちらほら見られました。 「~するのはぞっとしない」とか。 それからちょっと気になったのは、"Grand"という言葉を使う人についてホールデンがぐちぐち言うところが二か所あったと思うのですが、このGrandがそれぞれ別の言葉で訳されていたと思うんですよね…。 原書で読むと、ああホールデンは最初の方で別の人がこの言葉を使ったときにもやだっていってたな~と気づけるところ…だと思うのですが。 訳を読んだのが数年前なのでちょっと自信ないです。でも、あれ!?と思いました。 原書は本当にホールデンの頭の中を見てるみたいで、やっぱり読んでみてよかったなと思いました。 いろいろ書いてしまいましたが、村上訳は読みやすくてよかったので、読んでみてちょっとたってから原書を読んでみるといいかもしれません。 私は多分いきなり原書に挑戦していたらよく意味がつかめなかったんじゃないかと思います。スラングたっぷりなので^^; 読む年齢によって感じ方が変わると言われているのを聞きましたが、たしかにそうかもしれません。 なんだか今読んでみるとホールデンがかわいらしいな~と思います。痛々しくもあるんですが。 なぜかアックリーの行動までどこかかわいく見えてきてしまった…。 ホールデンは言葉遣いも悪いし煙草も吸うけど、イメージはなぜか「ピュア」っていう感じなんですよね。 ピュアすぎてこの世界では長く生きていられないような…。 数十年後のホールデンとかあんまり想像できないです。 The Catcher in the Rye J.D. Salinger Little, Brown and Company 1991-05-01 by G-Tools PR