" Mao's Last Dancer " by Li Cunxin 今回は波瀾万丈な人生を送っているバレエダンサーの自伝を読んでみました。 徳間文庫から『小さな村の小さなダンサー』という日本語訳が出ています。 単行本では『毛沢東のバレエダンサー』というタイトルだったようですが文庫化するにあたって映画版の邦題に合わせたものだと思われます。 <あらすじ> 毛沢東の政権下、リー・ツンシンは多くの兄弟とともに中国の貧しい村で暮らしていた。 ある日ツンシンの学校でバレエダンサーの選抜が行われ、貧しさから抜け出すチャンスを感じたツンシンは厳しい身体検査を忍耐力で乗り越える。 愛する家族の元から離れ北京でバレエを学ぶことになったツンシンは、信頼できる指導者と出会ってバレエの魅力に気づき、めきめきと頭角を現わしてゆく。 そんな彼に、アメリカで6週間バレエを学ぶチャンスが訪れた。 アメリカの空気を吸ったツンシンは中国で教えられてきたアメリカ像との違いに戸惑いながらも、その自由さに惹かれてゆく…。 Mao's Last Dancer Li Cunxin Puffin 2006-07-06 by G-Tools <感想> 自伝ですが、ほとんど小説のように楽しめました。 大躍進政策が原因で、多くの餓死者が出ていた時代。ツンシンの家族もとても貧しいのですが、お互いを思いやっていて思わず胸が温かくなります。 世界的なバレエダンサーになるくらいだからもう学校では最初からトップクラスだったのか?と思いきや、そうでもなかったようです。 しかし自分をしっかり見てくれるよい先生や、目標にできるプロのダンサーの存在、そしていくら働いても貧しさから抜け出すチャンスのない家族を救うには自分ががんばるしかないという思いに後押しされ、どんどん成長していきます。 やはり印象にのこったのは、他の人が休んでいるときにも必死で練習する姿や、道が閉ざされそうになっても必死で自分にできることを探す姿です。 あともうちょっと自分に甘くしていたり、しかたないと思ってあきらめていたら、開かれなかったであろう扉がいくつもあったのを感じました。 毛沢東政権下でどんな風に教育がされていたかも垣間見えます。 素晴らしい指導者なのだと叩き込まれると、本当に心から敬愛するようになっていくんだなぁ…というのが印象的でした。 なんだか1984のビッグブラザーを連想してしまいました。 最初の部分がちょっと長くて、はやくバレエがからんでこないかなと思ってしまいましたが、面白かったです。 PR